今回の労働衛生保護行動では、頸椎症や肩関節周囲炎、腰痛・背中の痛み、びまん性特発性骨増殖症(DISH)、坐骨神経痛を労働者自身が予防すべき疾病として位置付けた。中国疾病予防管理センター研究員の孫新氏は、「これらは法定の職業病ではないが、いずれも労働と関連する疾病だ」とし、将来的には職業病とされる可能性もあるとの見方を示した。
孫氏は、「中国は職業病リストを適時検討・調整し、労働者に関連し、特に労働者の健康にダメージを与える仕事関連疾病をリストに加えていく」とした。
このほか、衛生健康委員会職業健康司の呉宗之司長は、「2018年末時点で、中国の職業病累計報告は97万5千例で、実際の発病人数はさらに多い」と説明し、さらに、「労働者個人は労働衛生上好ましい仕事のやり方を提唱し、しっかりと予防をするべきだ。また雇用先は労働者に対し、衛生的で、環境にやさしい、快適で人にやさしい仕事環境を提供し、なおかつ管理を規範化し、制度を健全化させなければならない。そして政府も労働衛生に関する法律法規や規準、規則を改定し、体系構築を強化して労働衛生面を保障しなければならない」と指摘した。
「正しい姿勢で座ると、頚椎症の発症率は40%減らすことができる。この正しい姿勢とは、一言でいうと、頭部をやや持ち上げ、胸を張って、自然にリラックスした姿勢のことだ」と話す山西医科大学第二医院骨科の王晋東主任医師は枕の重要性についても紹介しており、「枕は極めて重要で、優れた枕であれば首の痛みを緩和することができるし、リハビリにも役に立つ。枕選びは、ソフトで快適、頭部をしっかり支え、首の自然なカーブに沿っているという3つの原則を満たしたものを選ぶこと」としている。
頸椎症の症状がすでに出てしまっている場合は、首の痛みや不調を取り除くことが当面の急務となる。王医師は、「患部を温めることは非常に有効な方法だ。このほか、正しいマッサージと症状にあった投薬も、頚椎症が悪化している場合や体の動きに制限が生じているような場合に、優れた効果を期待できる。とりわけ注意すべきことは、首は気軽に素人がマッサージしてはならないという点だ。きちんとした病院の専門医による指導の下で行わないと、深刻なケースでは半身不随になる恐れすらある」との見方を示した。
このほか、「頸椎体操」や「頸椎ヨガ」など、頚椎や肩の機能訓練に特化した運動を行う必要がある。また全身を使った運動も、頚椎症のリハビリ・治療に効果的だ。たとえば、バドミントンやスイミングはいずれも首に有効なスポーツといえる。
また、王医師は、首のケア方法として、「就寝前に、鳥が翼を広げるような姿勢をやってみると良い。まっすぐ立ち、90度になるまでゆっくりと腰をかがめ、両腕を左右に開き、大きな鳥が翼を広げて飛ぶような姿勢を保つ。ただし頭は持ち上げずに、5分間この姿勢を保ち続ける。この姿勢は頸椎部分の筋肉を鍛える作用がある」と、日常生活における首のケアについてアドバイスしている。