日本の歴史学者で学習院大学の鶴間和幸名誉教授は21日、東京の上野の森美術館で取材に応じ、「兵馬俑も大使と呼ぶべきだと思う。パンダと同じで、それがある所では、どこでも中国の魅力を感じさせてくれるから」と語った。新華社が報じた。
京都や静岡、名古屋などを巡回していた中日国交正常化50周年記念の重要な文化交流イベントである「兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~」が、最後の会場となる上野の森美術館でこのほど開幕した。
同巡回展のキュレーターである日中文化協会の唐啓山・専務理事は取材に対して、「1974年に秦始皇帝陵墓付近で発見された兵馬俑は、世界中を震撼させた。その後、1976年に初めて海を渡り、日本で公開された。当時、日本の約150万人の人々が列を作って東京国立博物館でそれを見学した。その人気の大きさは、パンダが日本に来た時に全く引けを取らない。日本の人々が今回の巡回展を通して、中国の輝かしい秦漢文化を知り、1976年の中日文化交流の記憶を蘇らせることを願っている」と語った。
そして、「これまでの巡回展は大成功で、来場者はすでに延べ24万人に達している。喜ばしいのは、非常に多くの若者が見学に来ていることだ。日本の若者が中国の秦の文化に示す関心の高さに胸を躍らせている」とした。
同巡回展では、陝西省の文化博物機関16機関と湖南省の1機関の文化財合わせて121点(組)が展示されている。会場は「統一前夜の秦」と「統一王朝の誕生」、「漢王朝の繁栄」の3エリアに分かれており、等身大の秦兵馬俑のほか、戦国時代の秦国の騎馬俑や前漢時代の彩色兵馬俑など、さまざま時代の、さまざまなタイプの兵馬俑が展示されている。また中国各地の博物館から集められた前漢の鎏金銅馬や漢の時代の亀紐金印といったたくさんの一級文化財も展示されている。
秦始皇帝陵博物院の郭向東副院長によると、同巡回展では兵馬俑9体や跪座俑1体が展示されており、「至近距離から兵馬俑の細かい部分まで360度の視点から見ることができる。服装や冠、髷からその役割や階級を判断することができる」という。
そして展示ホールに展示されている「2号銅車馬」の周りは漫画のパネルで囲まれている。郭副院長は、「展示されているのは日本で大人気の秦・漢の時代を背景とした漫画『キングダム』。漫画で描かれている銅車馬の実物も見ることができる。漫画作品と実際の文化財のコラボ展示も多くの若者が見学に訪れている主な原因だ」との見方を示す。
中国の古代史を専門に研究している歴史学者の鶴間名誉教授は取材に対して、「日本の若者が兵馬俑や秦・漢の時代の歴史が大好きな主な原因の一つは、ある程度、中国語の意味を理解できるから。大学で40年以上教えていたが、わざわざ中国の古代史を勉強するために講義に参加する学生もたくさんいた。『史記』といった歴史文献を使って、そのような若者が中国語の読解力を高めるよう助けてきた。そして、歴史文献と考古学的実物を組み合わせて学生の学習に対する関心を高めてきた。今回の展示は、多くの日本の若者がリアルな文化財を通して、中国の古代史や文化を理解する絶好の機会となる」と語った。