中日の国交が正常化した1972年、中国は「友好の使者」としてパンダの「康康」と「蘭蘭」を、上野動物園に寄贈。2頭は同年10月28日に日本に渡り、当時の二階堂進内閣官房長官が羽田空港で出迎え、「国賓級の待遇」と言われた。上野動物園は、日本で最初のパンダを迎えたことを記念し、10月28日を「パンダの日」とした。そして、翌年春には、4000万円を投じてパンダ舎を建設した。
1972年11月5日、上野動物園はパンダの一般公開を開始。パンダをひと目見ようと、多くの人が夜中から列を作った。同日、5万6000人が動物園に詰めかけ、2キロの列ができ、入場制限がかかったため、最終的にパンダに会えたのは1万8000人だったという。その後、上野動物園の年間入園者数が延べ700万人を超える年が続いた。同年12月17日、「東宝」が配給したパンダを主人公としたアニメーション映画「パンダコパンダ」が公開された。同作品の脚本はアニメーション映画監督として有名な宮崎駿氏が務めた。大ヒットとなったため、翌73年には続編の「パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻」が公開された。
1986年6月、上野動物園にとっては2頭目となったパンダの赤ちゃんが誕生。名前募集には27万通を超える応募があり、最終的に「童童(トントン)」と名付けられた。
2017年、待望のパンダの赤ちゃんが再び誕生。その名前募集には32万通を超える応募があり、最終的に「香香」に決まった。そして、一般公開が始まると、「香香」の観覧抽選の倍率が一時は144倍にも及ぶ人気となった。中国との取り決めで、「香香」は2歳で中国に返還されることになっていたものの、たびたび延期され、最終的に今年2月21日に返還された。最終観覧日となった2月19日には事前抽選で2600人の枠に6万人が申し込んだ。当日は動物園の外にもファンが詰めかけ、別れを惜しんで涙を流す人もいた。
日本の関西大学の宮本勝浩名誉教授は、「『香香』が東京にもたらした経済効果はおそらく600億円から650億円になるだろう」との見方を示している。
上野動物園だけでなく、日本では和歌山県の南紀白浜「アドベンチャーワールド」と兵庫県神戸市立王子動物園でもパンダを観覧することができる。「アドベンチャーワールド」はパンダの繁殖に何度も成功しており、海外のパンダファミリーとしては世界最大規模の「浜家」を誇る。
では、日本人はなぜこれほどパンダが好きなのだろうか?日本の著名な動物学者・今泉忠明氏は、「パンダは顔や身体全体に丸みがあって、動きがおぼつかなく、思わずキュンとしてしまう。日本で流行しているカワイイ文化にマッチしている」と分析する。
中日友好の使者
1995年、日本では阪神大震災が起きた。復興に励む神戸市民、特に子供たちを励まそうと、神戸市は中国と協議を行い、パンダの「旦旦(タンタン)」と「興興(シンシン)」が2000年、王子動物園に送られた。パンダがやって来た神戸では大ブームが起こり、王子動物園の来園者は激増。「旦旦」は親しみを込めて、「神戸のお嬢様」と呼ばれるようになった。「『旦旦』を見ると、勇気が湧いてくる」とコメントを寄せるファンもいるほどだ。
元駐日中国大使の孔鉉佑氏は、パンダに「親善大使」と手書きしたメッセージカードを寄せたこともある。2022年12月17日、在大阪中国総領事館の薛剣総領事は、日本で暮らして28年になるアドベンチャーワールドのオスのパンダ「永明」を、日本と中国の「友好特使」に任命した。
2023年3月17日には、在日本中国大使館が主催し、人民網日本株式会社が協賛する「パンダ友好交流の夜」イベントが、東京で開催され、楊宇臨時代理大使が式辞を述べた。また、小池百合子東京都知事や宇都宮徳一郎日中友好協会副会長(東京都日中友好協会会長)、日本の各界の友好関係者や青年代表約230人が出席した。楊臨時代理大使は、「パンダは中日友好の使者で、世界平和の象徴でもある。日本で飼育されているパンダは最も多い時で13頭と、中国国外では最多となった。両国の国民の友好、絆を十分に示している」と語った。
上野動物園教育普及課の大橋直哉課長は人民網の取材に対して、「『香香』はちょうど、ソーシャルメディア時代に日本で生まれたので、日本人はその成長の過程を常にチェックすることができ、自分の子供のようにかわいがってきた。隣国ではあるものの、中国に行ったことがない日本人も多い。しかし、パンダが中国から来ているということは人々の心に刻まれているため、パンダを架け橋にして、両国は文化交流を展開しやすく、日本人に中国について理解する良い機会を提供している。民間レベルでの交流は、日中友好を促進するうえで重要な意義があり、パンダは不可欠な存在と言えるだろう」との見方を示した。
转载自「人民網日本語版」
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