最近、大学生が連れ立って山東省淄博(しはく)市に行ってバーベキューを食べるという話題や書き込みがネットを賑わしている。中国各地の大学生が次々に淄博に出かけ、淄博は今やネットの人気都市だ。実はその背後には、3年間近くで10万人の大学生が淄博で働き、暮らすことを選んだという事実がある。
淄博、なぜバーベキューで知名度アップ?
午後5時前にも関わらず、淄博にある牧羊村バーべーキュー店はすでに満席で、店員が忙しそうにテーブルの間を動き回っていた。責任者の楊本新さんによると、「今から並ぶと2時間近く待ち」とのことだった。
淄博のバーベキューには長い歴史がある。淄博陶磁琉璃博物館には、数千年前に淄博で食べ物を焼くのに使われた陶磁器の容器が陳列されている。2022年度中国全土10大考古学的発見の1つとなった山東臨淄趙家徐姚遺跡は淄博市内にあり、この地方の食べ物を焼いて食べる習慣には今から約1万3000年前までさかのぼれる長い歴史があることがわかった。
現在、淄博のバーベキューの様子は昔とは大きく様変わりしたが、他の地域のバーベキューとも違う特徴がある。同省の濰坊学院で学ぶ何鑫さんは、「他の地域では焼けたものが運ばれてくるが、ここではテーブルごとに小さなコンロがあって、店員が7分目から8分目まで火が通ったものを運んできて、残りは自分たちで焼くので、バーベキューに参加したという気分をより味わえる」と話した。
淄博のバーベキューが大人気になったのは、決して偶然ではない。淄博市はここ数年、「淄博バーベキュー」ブランドをアピールし続け、各種メディアの飲食関連の番組にも淄博のバーベキューがたびたび登場した。ネットの人気者や人気アカウントが撮影した体験ショート動画が淄博バーベキューのPR役になり、ネットユーザーや若者の心に深い印象を残した。こうして各地の大学生が一度食べてみたいと淄博を訪れるようになり、淄博も一躍ネットで人気の都市になった。
大学生が古くからの従来型工業都市に来ることを選ぶのはなぜか?
中国各地から大学生が淄博にやって来るようにするために、実は淄博は数年前から手を打っていた。若者、特に大学生は、消費を推進する層であり、価値を創造し、時代の先端を行く層でもある。
淄博市は若者を引き付けるため、21年から若者のニーズを探るようになり、楽しく暮らし、仕事で成功することをめぐり、多彩で活力に富んだ、若者が起業しやすい都市の建設というコンセプトを打ち出し、都市の活力を高める道を模索してきた。淄博青島ビール祭り、麦畑音楽祭りなどのイベントは、若者を引き付けられるイベントになってきている。アート空間の「天空の橙」、ファッションエリアの水晶街、美しい書店として知られる鐘書閣などのネットで人気のスポットは、高い知名度で人々を引きつけている。
淄博市は「3年で大学生10万人を呼び込む計画」をすでに前倒しして達成した。22年下半期には新たな目標として、今後5年で市内に新たに大学生20万人以上を誘致することを打ち出した。(編集KS)